GazunderingとGazumping

このブログでも何度か書いていますが、イギリスの不動産売買は日本と比べてかなり特殊です。売買価格で合意していても、正式な契約(Exchange of Contracts)を交わすまでは、売り手も買い手も自由に撤回できます。そのため、契約直前になって「やっぱりやめます」ということが普通に起こります。

先日BBCで、「契約締結の前日に買い手が提示額を1万5,000ポンド引き下げてきた」というニュースを見ました。こうした行為は Gazundering と呼ばれるそうです。売主はすでに別の物件の購入を進めていたり、弁護士費用や引っ越し費用を支払っていたりするため、「今さら取引を壊すともっと損をする」という状況に追い込まれ、泣く泣く値下げを受け入れるケースが少なくありません。

実は私たちも似たような経験があります。こちらのオファーを受けた後で買い手が価格を引き下げてきて、不動産会社からも「受け入れた方が良い」と説得されました。こちらが引き返せない段階まで待ってから交渉してきたことは明らかで、かなり悔しい思いをしたのを覚えています。

逆に、売主が当初の買い手との合意後に、別の人からより高い価格を提示されて乗り換えることは Gazumping と呼ばれます。当初の買い手は、調査費用や弁護士費用を支払った後で物件を失うことになります。

どちらの場合も、応じても拒否しても大きな損失が発生します。新しい買い手を探すには平均で4か月ほどかかり、弁護士費用や各種手続きも最初からやり直しです。自分が購入予定だった物件も諦めなければならないかもしれません。しかもイギリスでは取引の約3件に1件が破談になるとも言われており、次の買い手がすぐ見つかる保証もありません。こうした制度が、不動産売買を非常にストレスの多いものにしています。

最近は買い手市場のため、特にGazunderingが増えているそうです。年間の経済的損失は莫大で、政府も制度改革を検討していますが、実現まではまだ時間がかかりそうです。

BBCで紹介された事例では、売主が値下げ要求を拒否して別の買い手を探そうとしたところ、買い手が慌てて「やはり元の価格を支払う」と言ってきたそうです。罰則がないため、「成功したら儲けもの」と考えて試してみる人もいるのでしょう。

完全な対策はありませんが、比較的有効とされるのが Reservation Agreement(予約契約) です。一定期間は売主も買主も取引を維持することを約束し、一方的に破棄した場合は違約金が発生します。

私たちも結局は値下げを受け入れましたが、結果的には暑くなる前に売却できました。納得できない部分はありましたが、「無事に売れただけ良かった」と今では思うようにしています。

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