長く賃貸業をやってきたのですが、今般不動産を売却することにしました。一番の理由は、大家業に妙味が無くなったことです。政権与党の労働党は、これでもかというほど不動産を賃貸に出している人に対して罰のような制度を作ってきました。
Rachel Reeves政権下では、Renters’ Rights Act 2025(2025年賃借人権利法)が成立し(2026年5月1日から段階的に施行)、過去40年で最大規模の民間賃貸改革となりました。
Renters’ Rights Act 2025が国会の審議を経て成立したのが昨年10月。明後日(5月1日)からいよいよ第1フェーズが施行されます。第2と第3フェーズは今年の後半以降の予定です。
では、5月1日から具体的に何が変わるのかと言いますと、以下の5つです。
①大家による、理由のない立ち退き要請(セクション21)が禁止されます。
②固定期間契約(AST)の廃止。イギリスではこれまでは、最低6か月や12か月といった賃貸契約期間が定められていましたが、これが廃止になり、ノーティスをどちらかが出さない限り自動更新契約に切り替わります。既存契約も自動的に切り替えになるので、再契約は不要です。
③家賃引き上げルールの厳格化。大家が家賃を引き上げることができるのは年1回までとなりました。2か月以上前にテナントに通知する義務があります。増額不服の場合、テナントはFirst-tier Tribunalという機関に申し立てが可能です。さらに、テナント募集の広告に多数の応募があった場合も、広告額を超える家賃の受領は違法になります。貸し手市場だと、テナント希望者が殺到し、入札になることもあります。
④ペット飼育の権利がテナントに与えられます。テナントは、ペット同居を請求する権利を持ち、大家は合理的な理由なくして拒否はできません。ただ、ペット保険を条件にすることは可能だそうです。
⑤家族や生活保護など給付受給者差別が禁止。子どもがいる、もしくは生活保護受給を理由とする拒否が違法になります。テナント募集の広告に書いたり、契約に盛り込んだり、住宅ローン契約の際にも適用されます。
これらを見れば、テナントがどれだけ手厚く保護されているか分かると思います。さらに大家として地方自治体にライセンス登録しなくてはならなくて(2026年後半から義務化)、カウンシルに多額の登録料を支払いました。貸主になるのは罰としか言いようがありません。
住宅ローン金利も上昇し、当然ながら大家で居続けることを辞める人も多く、賃貸物件がさらに減少しています。そのため、家賃は上昇し続けています。テナントからすればより安心して住めるようになりますが、賃貸物件減少により選択肢は狭まりますね。
何とか5月1日の新制度施行直前に大家業から撤退できました。

