新Stamp Duty(印紙税)の住宅市場への影響

10月30日に英財務相が財務政策を発表し、数々の大幅な税制変更が明らかになりました。そのうちの一つに、住宅購入時に払うスタンプデューティー(印紙税)の変更がありました。

変更点は主に2つです。①初回住宅購入者に適用される印紙税の控除額の引き下げ ②不動産投資家(2軒目以降の住宅購入者)に対する上乗せ税率の3%から5%に引き上げ、です。

想定される影響は、住宅市場のスローダウンです。これらの変更の発表後も、住宅価格が上昇するという見込みは変わらないという専門家の見方ですが、成長の勢いはそがれるだろうとのことです。初回購入者が購入時に支払う税金が増えるので、住宅ローン金利が減少するのを待つケースもあると思われます。

このStamp Dutyは、250,000ポンド(4900万円)までの物件にはかかりません(そんな物件、ロンドンにはほとんどありません)。初回購入者の場合、425,000ポンドまで無税だったのですが、これが今後300,000ポンドになります。この税金は購入時にアップフロントで支払うので、さらに資金を貯める必要があります。

イギリスのロンドン近郊以外では、300,000ポンド以下で買える物件がたくさんありますから、初回購入者への影響は少ないと思われますが、ロンドンで初回購入を予定している人には数千ポンドの上乗せが響くでしょう。

1階にガレージがあるのはタウンハウスと呼ばれます

それ以上に住宅市場への影響が大きい住宅ローン金利ですが、イギリス中央銀行の最近の利下げにもかかわらず、住宅ローン金利は上昇しています。市場はすでに利下げを織り込み済みだったことに加え、今後は利下げのペースが落ちるだろうとの中銀の発言がありました。先日の財務相による財政・予算発表後、物価が上昇するという見通しが広まり、それを抑制するために中銀は高金利を維持するだろうという見方が増えたため、住宅ローン提供者は金利を引き上げました。現在、2年固定金利は5.5%程度です。高いですね…。

住宅を購入したい人にとっては厳しい環境が続きそうです。

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