英国での資産運用の選択肢の一つに、Premium Bondというものがあります。「債券」という名前ですが、実際のところは宝くじ付きの普通預金です。
政府が管轄する金融機関、NS&Iという銀行の口座で25ポンドから50,000ポンドまで預金できます。預金額は英国政府によって保証されます。
プレミアムボンドは英国最大の貯蓄商品で、2,400万人以上が計1,220億ポンドを貯蓄しています。月1回賞金の当選口座番号が発表されます。この当選金の平均期待リターンは市中金利と乖離が大きくならないように設定されており、2023年12月現在は4.65%ですが、一般銀行の普通預金金利のほうが上回ってはいます。
プレミアムボンドとは、資金を預け入れ、必要な時に引き出せる普通預金口座です。特徴的なのは、支払われる利息が抽選によって決まることです。宝くじと同じで、預金金額が大きいほど、当選する確率は高くなります。最高額賞金の100万ポンド(1億8,400万円!)は、毎月2人に当たります。
ウェブサイトから口座を開設することが出来ますが、似たウェブサイトに間違えて送金しないように、最初は少額送金してみるのがいいと思います。入金してから丸1か月後から抽選に参加できるので、月の最終週に入金するのが良いでしょう。
プレミアムボンドに付く利息は非課税です。一方、一般の銀行の預金口座で受け取る利息は収入に応じた年間控除額を超えた部分には課税されます。例えば基本税率の納税者で19,000ポンド以上の預金が無い場合は、プレミアムボンドの利息非課税の恩恵はありません。控除額を超えて受取利息の税金を支払っている人にはメリットがあります。
プレミアムボンドの平均リターン4.65%は、100万ポンド当選する人と何も当たらない人の平均ですから、現実的な期待値はこれより低くなることを認識しておく必要があります。現実的な確率は、20人が100ポンドを預金したとして、1年間で25ポンドが当選するのは1人、残りの19人は何ももらえないということです。
では安全性はというと、NS&Iは英国政府の金融機関ですので、貯蓄の元本は保証されています。ただ現在は、他の英国のほぼすべての銀行預金も1人当たり1機関あたり85,000ポンドまでは保護されているので、その点はあまり変わらないでしょう。
12月11日現在、普通預金口座の金利は最高で5.22%、1年間の定期預金金利は最高で5.8%です。平均以上の幸運の持ち主でなければプレミアムボンドよりも普通預金か定期預金のほうが確実な選択肢と言えそうです。一方、受取利息に課税されている人で平均的な運の人にとっては、プレミアムボンドのほうがごくわずかに良い選択肢と言えます。利息を「賞金」と呼ぶことで、毎月ワクワク感が味わえますから、宝くじが好きな人は楽しめるでしょう。
忘れてはいけないことは、プレミアムボンドのリターンが物価上昇率(インフレ)を上回ることは少ないということです。インフレ率に勝つには、平均以上の運の強さが必要です。
夫はプレミアムボンドを保有しており、いくらか当選した、と喜んでいました。私も運試しに口座を開設してみようかと考えています。