労働党の野望と戦略

支持率を増やして絶好調の労働党は、次々と庶民にアピールする政策を打ち出しています。現在政権を握っている保守党はもともと富裕層や中堅層が主な支持者で、台頭してきた労働党は元労働者階級、いわゆる庶民が主な支持層です。それ以外の党は今のところ支持者が少なく、政権を握るのは実質この2党のどちらかになります。

労働党が選挙で敗北し政権を手放したのは2010年、ブラウン首相の時で、それ以降は連合政権を経て2015年から保守党が単独で政権を握っています。英国は過去だいたい10年おきくらいに政権交代しており、次は保守党が政権を奪還することが確実視されています。実際に、先日行われたスコットランドの補欠選挙ではスコットランド国民党に勝ち、世間を驚かせました。

保守党党首は現在キア・スターマー氏です。カリスマ性に欠けるリーダーだと思っていましたが、支持率上昇で俄然自信をみなぎらせてきました。彼は先日の労働党会議で、新たな計画を発表しました。尚、来年以降の総選挙に向けてのマニフェストは現在作成中で、発表されていません。

その計画によると、次世代の都市計画として政権を取ってから5年間で150万戸の公営住宅を建設するということです。かねてからこのブログで書いているように、英国では住宅価格が上昇しすぎて庶民にはおよそ手が届かないものとなってしまいました。この状況を少しでも緩和するために、全国各地に新しい町を作る計画です。

労働党の住宅以外の計画は、国民健康サービス(NHS)の抜本的改革です。現在国家予算を使いすぎている同サービスを、病院から地域でのケアに、アナログからデジタルに、病気から予防にシフトする目標を打ち出しています。

上記2本に加え、国営エネルギー会社の設立、警察システムの改革、社会階級制度の撤廃および機会平等、の計5本の改革の柱を中心にマニフェストを作成するようです。

私個人として一番関心がある経済政策や税制改革は具体案がまだ出ていません。税制改革は主に企業向けと非居住者向けのようです。

何年もかかって書き上げた、直近のマニフェストのドラフトは何と116ページもあるそうです。内容はあれもこれも成し遂げるべく、野心的です。最終的には有権者に理解されやすいように簡潔化されることでしょう。

世間の関心はもはや労働党が勝つか否かではなく、どの程度圧勝するか、という感じになっています。日本国籍の私は選挙権がありませんが、結果は少なからず私の生活に影響を及ぼすので、注意深く見ていこうと思います。

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