イギリスでは、インフレーションで生活費の上昇が続いており、固定費の支払いが困難になる人が出てきました。生活費を賄うために借金をする人は、英国の成人の何と40%にのぼると予想されています。
当面の資金繰りに困った人の短期的な手段として、Payday Loanがあります。文字通り、給料日に返済する短期ローンのことです。いろいろな金融機関がサービスを提供しています。
利用希望者はオンラインで申し込むことができ、借入金は銀行口座に振り込まれ、借りた人は給料日に利息とともに元本を返済します。もともとは給料日前のピンチを一時的に救うための短期の貸付だったのが、このごろは期間が長期化して、返済も数回にわたってできるものが増えているそうです。ペイデイローンの本来の特徴は、短期・高金利・少額でした。日本の消費者金融に似ている気がします。
ペイデイローンは通常厳しい審査がないので、最後の手段としては便利といわれています。ローン支払いが滞った記録がある人にも承認が下りやすいという利点があります。やむを得ず利用する場合は最低限、ローンを提供する金融会社が、FCA(イギリスの金融庁)に認可されている会社であるか調べましょう。
その金融機関がFCAに登録されていても、ペイデイローンが安全とは限りません。一番の問題は、利息が高いことです。ペイデイローンのブローカー会社もあり、知らずに利用するとブローカー費用が追加でかかることもあります。そもそも短期借入のためのサービスなので、返済に長期間かかってしまうと、必要最低限の生活費を支払えない人に高額の利息が請求されることになります。
では、そういう人はどうすればいいのでしょうか。まず、他の低金利のローンが借りられないか探してみること。例えば、クレジットユニオンという協同組合がどの町にもあり、預金や借入れなど金融サービスを提供しています。組合の利用者で運営されており、借入金利はペイデイローンより低いです。また、銀行の当座貸越(Overdraft)も、イギリスでは一般的に利用されていて、この利息もペイデイローンよりは低いです。すでにローンがある人は借入先の金融機関に相談してみると、月々の返済額を減らしてくれることもあります。さらに、無料で相談を受けてくれる組織もあるようです。
2015年にペイデイローンに対する規制が厳しくなり、消費者保護は強化されました。一方、YouGov(世論調査)によると、2023年は生活費不足分の穴埋めに1,011億ポンド(158兆円)が借り入れられると予想されています。
「急落する英ポンドを支えるため、(緊急)利上げも辞さない」という声明を昨晩、イギリス中央銀行が出しました。2023年の短期金利は6%というのが本日時点での市場予想です。ペイデイローンは緊急時に便利ですが、高利息返済のためにほかのローンを借りざるをえなくなるという悪循環のリスクを認識すべきです。
<注>この記事を書くにあたり、i(新聞)を参考にしました。本ブログ読者がローン返済不能に陥っても著者は責任を取りませんので、自己責任でお願いいたします。