今日は2024年春のイギリス財務相による来年度の施政方針演説でした。主に税制改革などについてハント財務相から国会で説明がありました。今年の総選挙で大敗することが予想されている保守党は、なんとしてでもこの機会に国民にアピールしなければなりません。
貧富の差が広がる一方の国で、富裕層を主な支持者とする保守党は、低所得者と富裕層双方を納得させる税制や予算案を出すことが期待されています。今回発表された項目のうち、主なものは以下です。大きな改革は少なくて、正直なところがっかりしました。
①労働者の国民保険を2ペンス削減。これが実際に意味するところは、現在額面から引かれている10%の保険料が来月から8%に減額されます。平均的な給与の労働者にとって、年間450ポンド手取りが増える計算です。所得税には変更なし。
②家計支援基金の6か月延長
③酒税を凍結、および燃料税の5ペンスの減額を延長
④住宅購入税(印紙税)軽減の廃止
⑤高税率納税者による住宅売却のキャピタルゲイン税率の低減
⑥非居住者(主に富裕層)の税制優遇を廃止
⑦児童手当受給の基準収入額の引き上げ
⑧英国企業だけに投資するISAの新設
⑨その他、中小企業向けの付加価値税基準値の引き上げ、電子タバコへの新たな課税、ビジネスクラス航空券に対する増税などが発表されました。
保守党は国家債務の少なさ、経済成長の見通し、失業率の減少をアピールしていましたが、議論としては弱い印象でした。
私が個人的に希望するのは、投資用不動産物件購入にかかる追加税の撤廃です。現在2件め以上の物件を購入する場合、平均的な価格の不動産に8%の住宅購入税がかかり大きな負担です。
①の国民保険料の減額は、年収25,000~50,000ポンドの人にとっては手取りが増える計算ですが、それ以上の収入の人は昨年秋の所得税基準額の凍結による増税と相殺するので、ほとんど変わりないようです。
いかにも国民を助けるため、というプロパガンダで発表された各種法案ですが、実際の恩恵は限定的といえそうです。