多くの日本人には興味もないと思われますが、今イギリスで大騒ぎになっているスキャンダルについて書きますね。イギリスでは財務相は首相の次に重要な政治家のポストです。
保守党のリシ・スナク氏(41歳)は、両親がインド系移民で、全寮制の名門ウィンチェスターカレッジ(高校)からオックスフォード大学に進学し卒業後、アメリカのスタンフォード大学でMBAを取得。このスタンフォード大学で、のちに妻となるアクシャタと出会いました。アクシャタはインド人ビリオネアの娘です。スナク氏は、MBA卒業後はゴールドマンサックス、ヘッジファンドなどで働きました。申し分のないエリートですね。
政界入りしたのは2015年で、メイ前首相の補佐となりました。そのメイ氏が失脚し、スナク氏がジョンソン首相に財務相に任命されたのが2020年。イギリスのコロナ禍の財政政策を担ってきました。
具体的には、3,300億ポンドのコロナ特別財政支出を打ち出しました。従業員の雇用を保持する企業に補助金を出しましたが、これは案の定、大量の不正がのちに発覚しました。8万社以上、2,100万ポンド以上が受け取った基金を返金しましたが、これをはるかに超える350億ポンドが不正に支払われました。そのほかの救済措置としては、住宅購入税を期間限定で引き下げたり、外食産業を助ける施策を打ち出したりしました。この頃は彼の財務相としての支持率は1978年以来最高となりました。
大盤振る舞いをした結果、昨年度のイギリスの財政赤字は3,550億ポンドと非戦時下過去最大額となりました。それを埋めるために国民保健料や、2023年以降の法人税率を引き上げる政策を発表しています。当然ながら増税を支持する国民は少なく、彼の支持率は急落しています。今年に入り燃料税の引き下げなどを決めていますが、それでは収まらないほどインフレーションが目に見えて進んでおり、国民の怒りの矛先は彼に向きがちです。
絵にかいたようなエリートのスナク英財務相ですが、超富裕層の妻が税金を減額しようとして、ステータスを非居住者に変更申請しようとしたことが明るみに出ました。(続く)