イギリスでカーシェアリングといえばZipcarですが、あちこちを走っているそのZipcar社がイギリスの事業から撤退することを発表しました。イメージとしては格安のレンタカーで、よく引越などに利用している人を見ます。我が家でも、自家用車を買うか検討した時の選択肢にZipcarがありましたが、Zipcarで借りられる車のほとんどがマニュアル車で断念した経緯があります。
Zipcarは英国全土で展開していますが、自家用車所有の費用と駐車スペースの問題が大きいロンドンでは重宝されていたと感じます。他のカーシェアリングもありますが、事業が小規模だと車を取りに行く場所が数マイル先だったりして不便ですし、費用も高いです。
車を日常的に利用しない人にとってカーシェアリングはとても便利なオプションだと思いますし、環境にもスペース的にも理にかなっています。
Zipcarは2000年にアメリカ人起業家によって設立され、2013年に米国のレンタカー会社Avis Budgetに買収されました。Zipcarの年間売上高が伸びず損失が拡大したため、親会社のAvis Budgetは事業継続を断念したようです。利用が減少した理由は、生活費高騰により消費者が支出を減らしたため、とのこと。同社は2024年にオックスフォード、ケンブリッジ、ブリストルから撤退し、ロンドンに注力することにしました。
ところが、ロンドンにはロンドン固有の問題がありました。大都市にはたくさんの行政区があり、それぞれ運営プロセスや価格が決められています。さらに中心部に乗り入れるには渋滞税を支払わなければならず、追加費用から利用が伸び悩みました。また、Zipcar社が地方自治体に支払う駐車場の費用もロンドンでは高額になります。つまり、この事業はもっと大きな枠組みで取り組まれるべきということみたいです。
一方、欧州大陸で他社が展開するカーシェアリング事業はまずまず成功しているようです。自社の所有する車両をレンタカーとして貸し出すタイプと、自分の車を他社に貸し出すサービスの2つがあります。ロンドンで自分の車を貸した場合、月平均400ポンドの収入が見込めるようで、車所有の費用を賄えるという予想も紹介されていました。
今年いっぱいで撤退するZipcarに代わるサービスが登場するのにはまだ時間がかかりそうです。

