高所得者でも家が買えないロンドン

最近、英国国家統計局(ONS)の住宅価格に関する発表があり、各紙で記事になりました。イングランドでは、家が買えるのは所得上位10%の人たちだけで、ロンドンに至っては上位10%でも手が届かない価格になっています。

住宅価格上昇の原因は、人口増加で需要が高いのに、供給が少なく賃金の上昇が追い付いていないことです。ロンドンの外を車で10分も走れば原っぱのような場所がたくさんあるのに、厳格な都市計画法があり住宅を建設できる土地はほとんどないので、土地を買って家を建てるということが難しいのです。

英国人はもともと住宅を所有する願望が強い国民です。もちろん賃貸も高騰していますが、不動産価格は給料に対して購入を検討することすらできない水準になってしまっています。賃料が上がれば当然頭金を貯めることができませんから、最近は親からの資金援助がない若者は不動産が買えなくなっています。ロンドンでは、世帯収入が91,443ポンド(約1,844万円)でも無理、ということなので多くの人にとってはお手上げです。

ロンドンで世帯収入下位10%の人では、年収の34倍になってしまうそうです。もう一生かかっても無理です。尚、ロンドンの2024年の平均住宅価格は52万7500ポンドでした(約1億639万円)。英国北東部の3倍以上です。住宅が高すぎるという問題は、ロンドンだけではなく、南東部、イングランド東部、南西部でも高所得者しか買えません。買えば終わりというわけではなく、毎年高額な維持費がかかります。

一応英国政府も住宅建設に投資をすることを発表していますが、手が届く住宅が売り出されるのは最速で数年後(英国はすべてに時間がかかるので、工事は数年間かかります)、下手したら数十年かかりそうです。

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