先日メトロ紙に職場で年齢差別をされた人の話が載っていて、身につまされる思いで読みました。欧米は実力主義で年齢は関係ないと思われるフシもありますが、実際には厳然と差別があるのは事実です。
英国では名目上は年齢で差別することは禁止されています。そのため、雇用主は定年を定めず、老齢だという理由で解雇をすることはできません。とはいえ、一般的に定年とされる年齢(国民年金受給開始の67歳)を超えて現役で働いている人は、自営業以外ではごくまれです。私の職場でも60歳が近づくと辞めていきます。自発的な場合もありますし、人員整理の対象になることもあります。なんとなく周りからプレッシャーを感じるのだと思います。
メトロ紙の記事では、グローバル企業で重役だった女性が、50歳になると突然解雇されたそうです。更年期のほてりが顔に出ていたそうです。企業の成長を10年にわたって導いてきた自負があった彼女にとって突然の解雇は衝撃でした。企業は「もうあなたには合わない」という説明でした。女性はなぜか恥ずかしく感じたといいます。年齢紙別をされたことを弁護士に相談しましたが、訴訟を起こしても勝ち目はないだろうと諭されてあきらめたそうです。
同紙の他の事例では、40年間出世街道を歩んできた57歳のMBA保持者が解雇され、転職先を探したものの全く相手にされなかたそうです。彼は65歳まで働くつもりだったそうですが、自分の雇用主に提示された他部署のポジションは15年前の入社時と同じ給料(4割減)だったそうです。給料ダウンや転居可能性も含めて3年間就職活動をし、結局あきらめて早期退職することにしました。
調査によると、4人に1人が50歳以上を雇用するのは意味がないと考えているそうです。さらに、20%の人が、50歳以上の人に職業訓練を行うのは資源の無駄という厳しい意見を持っているそうです。残念ながら、これが現実です。50代以降に転職先を探すのは難しいと言えます。先日転職エージェントの人に「私の年齢でも仕事ありますか?」と聞いたところ、「当社では54歳の人の転職をあっせんした実績があります」とのこと。つまり、そのくらいまれな事例みたいです。
日本で働いていた時(10年以上前)は、競争が厳しく体力勝負の外資系企業ということもあり、45歳以上の人はいませんでした。それまでに必死で稼ぎ、もっとゆったりとした仕事に移っていく感じでした。今は75歳まで働かざるを得ない人が多いと聞きます。私の日本の友人も70歳まで働くつもりだそうですが、人手不足の日本なら仕事自体はあるのでしょう。イギリスの知人もみな可能な限り長く働くつもり、といいますが、何歳まで雇ってもらえるのかは不明です。
知人の会社では人員整理として、解雇もしくは他部署・他国のオフィスに異動かつ給料大幅ダウンの2択を迫られるそうです。住宅ローンを払っている知人は不安な日々を過ごしています。私の会社でも余剰人員整理が毎月あり、中年の社員たちが去っていきます。私もいかにもオバちゃんという感じにならないようにまめに白髪染めをし、ぜい肉が付いただらしない体にならないように気を付けていますが、遠くない将来対象になることは避けられなそうです。
