IPO市場ではコテンパンに負けているロンドンですが、一方でフィンテック業界は元気らしく、次々と新しい会社が生まれているようです。
先日のCity AM(平日の無料新聞)の記事によると、イギリスのフィンテック産業が急成長しており追随を許さない、とのこと。
ロンドンを拠点とするAllica Bankは、ヨーロッパで最も成長している新興企業と言われています。同社は2024年の利益は2倍の2990万ポンドになりました。他のオンライン銀行、Revolutも2024年の利益は何と10億ポンド(!)に達したそうですが、それ以上に驚くのはRevolutの利用者は5250万人で、HSBCの4100万人をはるかに超えていることです。これらのフィンテック企業がなぜロンドンを拠点にしているのかが興味深いです。

現在、フィンテック企業で働く人は82000人だそうですが、2年以内には10万人を超えると予想されています。破竹の勢いですね!若い人が多そうですが、雇ってくれないかしら…?
HSBCイノベーション・バンキングの調査によると、英国はヨーロッパでトップのユニコーン育成国であり、10億ポンド以上の価値を持つ新興企業を185社以上生み出しています。そして、このユニコーン協議会にはフィンテック企業が参加しているそうです。スマホを使って手軽に投資が始められるようになったことも大きな要因といえそうですね。イノベーション、スマートさ、手軽さなどが魅力のようです。
もともとフィンテック企業は消費者金融にフォーカスしていたそうですが、現在は様々な金融サービスを提供するモバイル専用銀行になっています。FCA(金融庁)に金融業として登録はしているものの、組織が小さいので意思決定が速く、消費者のニーズに素早く応えられる強みがあります。
フィンテックを積極的に利用するのは、同様の新興企業だったりするようです。レヴォリュートは2020年に法人部門に参入し、融資を含む多様なサービスを展開しています。そしてこの法人向けビジネスがいよいよ本格化しています。フィンテックのスローガンは成長で、目を見張るモメンタムです。
2024年、フィンテックへの投資は減少したものの、英国は欧州で首位を維持しました。KPMGのデータによると、英国のフィンテック業界への投資総額は、フランス、ドイツ、中国、インド、ブラジル、カナダの合計を上回ったそうです。英国のフィンテックに特徴的なのは、相互支援の文化といいます。またこれらの企業はIPOを急いでいないようです。価値観が若くて面白いですね。
英国が首位を維持するためには、デジタル金融を経済戦略の中心に据える必要があるというのが専門家の意見です。アメリカ離れが起きている今年は世界で主導権を握るチャンスです。リーブス財務相は先月、フィンテック企業の経営者たちと会談をしたと報じられています。
私は半年ほど前にRevolutの口座を開きました。口座をあまり増やしたくないのですが、上司が絶賛していたのと、都市銀行でまとまった資金を動かそうとすると制限されてしまうので利用してみたところ、さすがに使い勝手が良いと感じました。Revolutの株式を買いたいのですが、一般の投資家はまだ買えません。IPOの噂もあり上場したら買おうと思いますが、そのころにはヴァリュエーションが高くなりすぎていそうです。