世界中で争奪戦、移住を選ぶ英国の若者 1

昨日のテレグラフ紙に非常に興味深い記事が載っていました。イギリスから国外移住する若年層が激増しているそうです。人気の移住先は、ポルトガル、アメリカ、オーストラリア、タイなどだそうです。これらの国は、納税者確保のために若くてスキルがある人材に積極的に労働ビザを出しています。

例えばポルトガル政府も若い移民の誘致に真剣で、2年前からデジタル・ノマドと呼ばれる世界のどこででも働ける人を呼び込むため2年前から政策を変更しています。家賃は上昇しているとはいえ、実際に移住した人によると、生活費は安く、生活の質も、ワークライフバランスも、ポルトガルのほうがずっといいそうです。

ポルトガルは現在、35歳未満で年収28,000ユーロ(23,000ポンド)以下の人々に対する減税措置を提案しており、国外に流出する若者の流れを食い止めると同時に、より多くの人々をポルトガルに呼び寄せ、働かせようとしています。最大100%の減税は若者をポルトガルに引き留め、惹きつける目的を十分に果たすでしょう。所得税ナシなら来ますよね、賢いな~。ポルトガルの移民局によると、15歳から39歳の成人のほぼ3分の1、約85万人が海外で暮らしているそうです。ポルトガルの給与水準は比較的低いそうで、私の同僚も同国からの移民です。

国連によると、ポルトガルの生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)は、2010年の700万人以上から、現在は約650万人にまで減少しており、2050年にはさらに520万人にまで激減すると予測され、わずか数十年で実質的に4分の1が減少することになります。人口流出を食い止め、新たな移民を呼び込む必要がありますが、危機に直面していることに気づいているのはポルトガルだけではなく、世界的な人材争奪戦が始まっています。世界の15歳から64歳の人口は、1970年の約20億人からミレニアムの初期には40億人へと倍増し、国連の最新予測によれば、2040年代には60億人に達する勢いです。 ところが、生産年齢人口は2070年頃に63億人弱のピークに達し、その後逆転することが見込まれます。

世界中で人口は高齢化していて、特に先進国の多くで顕著です。労働者の減少、消費者の減少、年金受給者の増加を支える納税者の減少は日本だけの問題ではありません。各国知恵をしぼって戦略を立てていますが、出生率を上げる政策はほとんど効果がないことがわかっており、残る選択肢は増税、年金支給年齢の引き上げ、歳出削減くらいしかありません。若い移民を受け入れることは有効な手段ですが、誰もが同じ労働力を求めているので、有能な人は世界で引く手あまたです。ポルトガルの税制優遇措置は、世界的な人材争奪戦の口火を切ることになりそうです。

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