労働党の「痛みを伴う」改革案

昨日スターマー新首相がスピーチを行い、秋の施政方針演説では痛みを伴う政策が発表になるだろうと話しました。彼の説明によると、過去10年以上続いた保守党政権による間違いを修正し、イギリス経済を再び成長軌道に乗せるには10年かかるそうです。口当たりが良いことばかりを並べ立てるより、正直なところは好感が持てます。より良い将来のために、最初は多少苦しい思いをせざるを得ない、という意味のようです。

首相がいう痛み、というのは220億ポンドの財政赤字を埋めるために、支出を削減し、税収を上げる必要があることを指しています。税制改革の詳細は秋まで明らかにされませんが、きわめてまことしやかに報道されているのは、相続税とキャピタルゲイン税の抜本的な改革です。低所得者層の味方である労働党ですし、主に富裕層が払うこれらの税金がターゲットになるのは当然とも言えます。

一方、歳出削減策の一環として、年金受給者の冬季燃料費補助が廃止になることは確実視されています。最低限の生活費で暮らしている高齢者は年間100~300ポンド受け取っています。10月に電気・ガス代の上限が引き上げられることは決まっており、年間の光熱費(水道代別)は平均して£1,717(32万8千円)になる見込みです。貧困者サポート団体は、補助金廃止の報道を受けて、弱者のための労働党じゃなかったのか!と猛反発しています。

英国の相続税は現在、£325,000を超える遺産を相続した場合に、超過分に40%の課税がされます。ところが、各種控除を加味したのちに実際に支払っているのは被相続人の5%だけだそうで、適用になる税率は実質40%よりもずっと低いようです。相続税の抜け穴をふさぐことで、政府は何と400億ポンド追加で徴収可能とのことです。

キャピタルゲイン税については、いまだに噂ベースですが、現在年間控除3,000ポンド後所得に応じて10~24%課税されます。これが25~30%に引き上げられると予想されています。

すでに重い税負担から逃れたい富裕者層は英国から脱出しており、この流れは加速することになるでしょう。

富裕層への課税を増やすこと自体には反対しません。私個人としては相続税は無関係ですが、相続税を払わなければいけないレベルの富裕層の「抜け道」をふさぐことは、貧困にあえぐ英国民を救うために必要なアクションだと考えます。キャピタルゲイン増税は…個人的には結構イタいです(涙)が、納めた税金が有意義な使い方をされることを祈るばかりです。

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