私は本を読むのが遅く、年間80冊くらいのペースで読みます。ジャンルは様々で、ノンフィクションからミステリー小説からビジネス書まで。最近読んだ本をいくつか紹介します。
お金は若い時に経験に使おう、という内容の本。死ぬときに持ち金ゼロを目指そう。死ぬタイミングが分からないので不安に思って貯め過ぎてしまう人が多いが、老人になったときに大金を持っていても使う体力もないのでありがたみも薄い。働いていれば徐々に給料も増えるものだし、だんだんお金を使わなくなるので、体力があるうちに思い切って使うことを提唱するもの。子どもに残したい人は子どもが20~30代のうちに渡そう。そして自分も支出のピークを30~40代、遅くとも50歳までにしよう。
著者に同意である。若いときはリスクが取れるし、多少失敗しても人生をやり直ししやすい。老後資金を計算してみるとそれほど必要ないことが分かり、それ以外は意義があることに使うのが幸せにつながるだろう。そうは言っても実践するのは難しいことである。マシな老人施設に入ることや、苦しい延命治療で1か月長生きすることよりも、今友達や家族と楽しい時間を過ごすことが大事だし、一緒に作った思い出は老後の財産になりうる。どうも最近、やたらに「老後いくら貯めていないと悲惨」という不安をあおるような話題が多く、人々を必要以上に不安にしていると思う。無計画は論外だが、バランスが必要だし、私は自分がそれをうまくできているとは思えない。
FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド
著者は中国系カナダ人で、31歳でFIREを達成した。FIREを目指す過程と方法論を徹底的に解説している。著者は誰でも真似できるように、とても親切に詳しく教えてくれる。まずコストパフォーマンスが高い学位や資格を取り(著者の場合コンピュータサイエンス)、平均以上の給与が見込める会社でしばらく働きつつも節約&投資に励み、必要金額のポートフォリオが見えてきたら(著者の場合はパートナーと合算でCAD 1M)、4%取り崩しルールに従いながら物価の低い国などを旅行しながら暮らすというモデルである。
FIRE系の本はたくさんあるが、元祖である本書が一番売れているようだ。いくら貯金すればFIRE出来るかという議論に正しい答えはなく(人により違う)、5千万円でリタイア出来る人もいるし、数億円貯めても心配という人もいる。著者の場合FIREしたのが31歳とかなり若く、世界旅行をするエネルギー(気力・体力両方)がまだあり、うらやましいと感じる。本書のいいところは再現性が高いことと、読者が不安に思う点の対処法を提示していることである。例えば子どもが出来たら(いたら)どうするか、株式市場暴落でポートフォリオの価値が下落したらどうするか、などである。十分な資金が貯まった後の人生の楽しみ方は参考にしたい。
最近同年代の同僚が解雇され、今後のことをいろいろ考える今日この頃です。近い将来に何らかのターニングポイントがありそうな気がしています。