旅行中にバイデン対トランプ討論会、フランス総選挙、イギリス総選挙、東京都知事選などマーケットイベントてんこ盛りで、気になってそわそわしていました。
私個人に一番関連があるのはアメリカ大統領選挙ですが、今回は英国の労働党による新政権の家計への影響について書きます。不在だったので、出遅れ感はありますが…。
イギリス総選挙の結果はサプライズ無く、14年間野党だった労働党の圧勝でした。新政権の政策は、まだ具体的に発表されているものは少ないのですが、いくつか分かっていることもあります。
まずは、英国国民年金のトリプルロック政策の維持です。トリプルロックというのは、国民年金の増加率が、物価上昇率、賃金増加率、もしくは2.5%のうち一番高い数値で引き上げられるという保証です。これは前政権からの継続ですが、少なくとも2030年までは続くことが確約されました。日本人の私からすると、なかなか太っ腹な政策だと思います。
また庶民の味方の労働党は、富裕層に増税し、貧困層に手を差し伸べる政策になります。その一環として、私立の学校の授業料にVAT(付加価値税)を課す方針です。ただでさえ高額な私立の学費は、2割増となる可能性が高いです。払えなければ公立に行くしかありません。
気になる英国の住宅市場ですが、この先約5年の政権が決まったことに寄り、先行き不透明感が払しょくされ中長期での計画が立てやすくなるため、活況になることが予想されます。今のところ分かっているのは、新規住宅購入者は頭金5%で購入可能にし、残りのローン残高95%を政府が保証するというスキームです。もともと2021年に保守党が打ち立てた政策ですが、期限が近付いていたところです。労働党はこれを延長して若い世代をサポートすることを約束しています。
初めて女性で財務大臣に任命されたリーヴス氏は、早速スピーチをしました(正式な施政方針演説は秋)。労働党は今後5年間で150万戸の新築住宅の建設を公約しています。毎年70万人の移民が純増しているので、住宅供給は緊急の課題です。報道によると、これらは市営住宅のような感じで、Affordable(手に届く価格)で主に低所得者層に売り出されたり貸し出されたりするそうです。
それ以外の政策は基本的に踏襲される予定で、全体としては何かが劇的に変わりそうにはないです。育児手当が子ども2人までを継続とか、非居住外国人の免税を撤廃とかは決まっていますが、私的年金上限額、キャピタルゲイン税の方針も発表されていません。国の負債も過去最高額水準ですし、すべきことは山積みです。
リーヴス新財務大臣は、オックスフォード大学とロンドンスクールオブエコノミクス大学院で学位を修め、イングランド銀行でエコノミストをしていたそうです。彼女に期待したいと思います!