英国、個人年金保険の受け取り方

イギリスでは、老後資金は国民年金と厚生年金(企業拠出型年金もしくは個人積み立て年金)の2階建てで受け取るのが一般的という記事を過去に何度か書きました。日本のシステムと似ています。こちらの記事を書いてからいろいろ環境が変わったので、個人の積立年金に関してアップデートしますね。

リタイアしたら、多くの人にとって年金が主な資金源になります。国民年金だけでは生活費に不足するので、リタイアするまでに十分な資金を自分の年金基金に貯めておき、引退後の生活資金源にするのが一般的です。尚、国民年金で受け取る金額は現役の時の収入にかかわらず、誰でも勤務年数に応じて同額です。

リタイア時に個人年金の受け取り方を選ぶことになります。Annuityという金融商品を購入するか、自分でその都度年金から必要資金を引き出して残高は運用し続ける(Drawdown)か、基本的にはこの2つのオプションです。平均寿命まで生きた場合Drawdownの方が経済的には得と言われていますが、市場リスクがあるので、一定金額を一生受け取ることで安心したい人はAnnuity商品から選べばいいでしょう。

Annuityの種類はいくつかあり、どれが自分に合っているかは年金基金管理会社の人が相談に乗ってくれますが、一生に渡って受け取る金額が変わってきますから、その会社以外の商品も検討することがとても大切です。税金の面からも、慎重に決めましょう。

気を付けなければいけないことは、一度Annuityを選んだらDrawdownには一生変更できないということです(逆は可)。また、Annuityを購入するタイミングによって、毎月いくら受け取れるかがかなり変わってくるということです。その理由は、Annuityの購入時点での金利で期待リターンが上下するからです。

現在はAnnuityが好条件なため選ぶ人が増えているようですが、今後徐々に受取金額が減少する見込みです。i(新聞)によると、年金基金に10万ポンド貯めた人が65歳で引退した場合、年間受け取れる金額は3年前は4,700ポンドでした。これが現在は7,000ポンドで、約5割の増加です。

英国の政策金利は現行の5.25%から徐々に下がると予想されています。そのため、Annuity受取金額は利下げ開始前の現在が最大に近いようです。引退のタイミングが数か月ずれただけでも生涯に受け取れる金額がだいぶ変わってしまうので、近い将来に引退を考えている人やDrawdownからAnnuityに切り替える予定の人は、早めに年金管理会社に見積もりを出してもらったほうがいいですね。

なお、現在はAnnuityとDrawdownのハイブリッドを選ぶこともできるそうです。引退後数十年の収入を決める重大な決断ですので、自信が無い人は年金アドバイザーに相談したほうがいいでしょう。

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