オーバーツーリズムという言葉はここ数年で良く耳にするようになりました。観光客が増えすぎて地元の観光地が対応しきれず悲鳴を上げているそうです。大騒ぎやゴミ放置といった観光客のマナーを一番最初に取り上げたのはイタリアのベネチアでした。それほど大きくない街に何百万人もの人が押し寄せ、本来地元の人が利用していたレストランや施設も観光客向けになってしまいます。
日本でも京都や白川郷や築地に観光客が増えすぎて地元の人がバスに乗れないなど、普通の生活を送るのが困難になっていると聞きます。もちろんロンドンも同じですし、北イギリスの湖水地方もアジア某国からの観光客であふれかえっているそうです。人が多すぎて街が機能しません。
先月スペインのマラガに旅行をしましたが、レストランの屋外のテーブルで大騒ぎしている若い女性のグループが周囲から白い目で見られていました。イギリス人でした。夫は「同国人が海外でああいうふるまいをしているのを見るのは本当に恥ずかしい」と言っていました。
先週、欧州人の人気の旅行先、スペインのテネリフェ島で、「観光客は帰れ」という落書きが見られるようになったと報じられました。カナリア諸島への旅行者は昨年1,700万人だったそうです。同様に、バルセロナに居住している人は160万人なのに対して、毎年訪れる観光客は3,200万人(!)だそうです。
こういう魅力的な街の収入源は観光業であることは間違いありません。でもそこに住む人からすると、酔っぱらった外国人がうろうろしていて治安が悪くなったと感じるようです。それだけでなく、宿泊施設が足りないからと住人が立ち退きを迫られるケースもあるのだとか。
イギリス人だけが傍若無人なわけではなく、先日のニュースではドイツ人が地元の人を追いかけ回すなど迷惑行為を行ったと報じられました。また、観光客は地元の食事ををありがたがらず、ハンバーガーとポテトフライとビールにしか興味が無く、現地の文化を知ろうともしないと苦情が書いてありました。「観光客来るな」の抗議運動はマヨルカ島やマラガなどにも広がり、今度は英国人が「現地で攻撃を受けたりしないだろうか」と心配するようになっています。
こういう陳情を受けて、スペインの地方自治体は観光客への規制を厳しくすることを検討しているようです。観光客が来なくなったら地元の経済は成り立たなくなりますし、痛し痒しですね。