2月は仕事が忙しく、なかなか記事の更新ができませんでした。明日から3月とは驚きです。
昨今の住宅ローン金利高騰にもかかわらず、英国の住宅価格は高水準を維持しています。イギリス人はフランスなど他国人に比べ住宅所有の願望が強いです。日本と同じで島国ということもあるのでしょう。以前にも書きましたが、人生の早い段階で小さめのアパートを購入し、その価値が上がったら売って一回り大きい住宅に買い替え、というのを繰り返して最終的には大きな家を所有することを目標とするのが一般的でした。そして、これまでは住宅価格が上昇する一方だったので、それも可能でした。
ところが現在の住宅価格は、人々の収入の水準を考えると、手が届く範囲をはるかに超えています。賃貸の家賃が高く、頭金の貯蓄すらできない人が多いです。住宅価格が高くて頭金も少なければ毎月のローン返済も多額になり、家計を圧迫します。住宅ローンの審査に通らない人も多いようです。
この状況を悲観して、住宅所有者でない人たちの半数以上は最初の物件の購入を諦めつつあるそうです。
オンライン不動産サイトのRightmoveによると、ロンドンの住宅の平均売出価格は£682,989(1億3,000万円)で、2023年に下落したものの今月は3%上昇しているとのこと。2023年のロンドンの20代フルタイムの平均年収は34,000ポンドでした。全世代平均でも44,370ポンドです。私の知人でも、住宅に資産全振りしている人が結構います。
今年は総選挙がありますが、住宅問題への取り組みは各党の目玉政策となるでしょう。特に低所得者が買えるような価格帯の住宅を建築することを公約にしたり、1%の頭金で物件が購入できるようになるという方針を検討中という噂もあります。
家賃が安ければ一生賃貸でいいと考える人もいるでしょうが、やはり高齢になって高い家賃を毎月払い続けられるか不安ですね。イギリスでは孤独死されたら困るから高齢者に貸さないという話は聞いたことがありませんが、それは高齢者の多くがすでに物件を所有しているからということもあると思います。
若者が絶望しないですむ国であってほしいですが、全国民にフェアな妙案をひねり出すのは難しいですね。
*記事内の数値はEvening Standard紙を参照しました。