今日のガーディアン紙に、「1,100万人以上の英国人は貯蓄が1,000ポンド未満」という記事がありました。貯蓄が少ない世帯では、日々の出費はクレジットカード、当座貸越(銀行からの短期借入)、またはローンに依存してる可能性が2倍以上高いという結果でした。
レゾリューション財団(シンクタンク)の報告書によると、労働年齢世帯の3人に1人(1,120万人)は、1,000ポンドの緊急用資金がないそうです。最近の物価上昇により貯金がさらに難しくなっているため、この割合は低所得世帯のほぼ半数にまで増加しています。同財団の調査では、約12%は貯金が100ポンド未満で、5%は全く貯蓄が無いという回答でした。
英国の労働年齢世帯の半数以上(51%または1,300万)は、失業、病気、離婚などの大きな問題に備えて、収入の3か月分に相当する貯蓄を持っていません。いざという時には国の社会保障に頼ればいいという考えの人も多く、裏返せば国の社会保障が充実してアクセスしやすいということなのでしょう。
同シンクタンクは、人々が経済的危機に対処するために、自分の年金基金から「借りる」ことが出来るべきだという意見でしたが、困窮している人が年金基金に十分な資金を積み立てているとは考えにくいです。年金基金から引き出せるのは55歳からで、2028年からは57歳に引き上げられます。
では本当に危機の時に何とかなるのかというと、なるのです、驚くべきことに。イギリスのベネフィット(社会保障)は太っ腹なので、税金を払っていない人にも、なんなら不法滞在者にさえ(一時的とはいえ)手を差し伸べます。市営アパートは手当てしてもらえますし、基本的な食料を買う程度の援助は地方自治体から受けられます。ですから、理論上ホームレスや餓死する人はいないはず(強制的に保護される)で、実際にホームレスたちは一定時間物乞いしても、どこか寝床に帰るようです。
いつ死ぬか分からないのに、今買いたいものを我慢して貯金をする意味がない、という考えの人が多いのは頼もしい英国政府のおかげでもありますが、私は持っているお金を全て使い切るのは不安を感じてしまう性格なので、ちまちまと貯蓄に励もうと思います。