昨今の金利上昇により、投資として不動産を購入し貸し出している大家が、住宅ローンの支払いに困って物件を手放す動きがあるようです。
i(新聞)によると、 家主(大家)の住宅ローンコストと賃貸不動産市場の縮小が、家賃に波及効果をもたらしています。つまり、賃貸物件の数が減少することで家賃が上昇しているということです。大家は平均して昨年比40%増の利息を払っており、その結果、住宅ローンを滞納するケースが増えています。ここ3か月の延滞はその前の3か月から29%増加しています。
大家の多くは、住宅ローンを家賃収入から支払っているので、今後数か月から数年の間に、事態はさらに深刻となる見込みです。一度延滞してしまうと信用スコアに傷が付くので、次に物件を買おうと思っても住宅ローンの承認が下りなくなってしまいます。超低金利の時に少ないデポジットで物件を購入し、家賃収入でローンを払っていき、将来は物件が自分のものになると思っていた人々は予期せぬコスト上昇に頭を抱えています。
イギリスの政策金利は2021年12月には0.1%でしたが、現在は5.25%になっています。それに伴い、住宅ローンの2年平均金利も2.90%から6.22%に上昇しました。Simply Businessの調査では、40%の利息増加に影響を受け、大家の約4分の1(!)が今後12か月以内に物件を売却する見込みで、家主の10分の1が過去12か月以内に物件を売却済みです。その一方、新しく投資用物件を購入する意図がある大家は3%にとどまりました。
大手不動産エージェントのハンプトンズによると、英国の平均家賃は9月までの1年間で11.7%上昇しているそうです。家賃上昇はテナント側だけでなく、大家側もテナント入れ替え期間(無家賃)の期間のコストの負担が大きくなるということです。2016年以降、受取家賃への課税控除が減少したため、家主の家賃収入への課税も増加しています。さらに、賃貸用不動産を購入する場合の印紙税が大幅増加したため、2軒目以上の物件を購入しようとする人が激減したようです。以前のように住宅価格が上昇するという見通しがあればそれなりに意義深い投資でしたが、住宅価格はこの先しばらく低下が続く予想です。
先日書いたように、オフィスに通勤しなければいけない日が増えている一方で、通勤に便利な場所の物件が不足していて、テナントの間では熾烈な競争が続いているようです。