私は土曜日はタイムズ(The Times)という新聞を時々読みます。真っ先に読むのは最初の3ページですが、隅から隅まで目を通すのはマネー・セクションです。文字通り、お金や金利に関する記事が多いです。
今日の新聞2面に載っていた記事は、「住宅ローン商品が減少、住宅購入者は40%の頭金が必要」という衝撃的のタイトルでした。
TSB銀行という大手住宅ローンプロバイダーが、40%の頭金が無い住宅購入者にローンを出さないことにしたそうです。バークレイズ銀行も25%以上の頭金がないと貸さず、他の主要銀行も、最低15%の頭金を要求するそうです。そして最も頭金が少なくてすむ商品に住宅購入者が殺到するため、住宅ローン金利も上昇しています。
この住宅ローン供給の減少に一番影響を受けるのは、初めて住宅を購入するファーストタイムバイヤーと呼ばれる若い世代です。3月に5,222あった住宅ローン商品は、今は2,300に減少しています。そのうち、25%未満の頭金で借りられるのは、わずか540商品に過ぎません。
イギリスの住宅購入者の平均は頭金が32%だそうで、初回購入者になると23%しか用意できないというデータがあります。住宅価格が上がりすぎたからです。また、かつて67%だった住宅所有率は現在63%に減少しているようです。
購入時に必要な頭金が増えていることが意味することは何か。銀行が25%の頭金を要求するということは、銀行は住宅価格が最大25%下落すると予想しているのです。例えば40万ポンドで買った家の価格が25%、30万ポンドに下落したとすると、借り手がローンを払えなくなって家を売っても30万ポンドにしかなりません。だから30万ポンドしか貸さないのです。銀行は住宅価格下落リスクを負いたくありませんから、住宅ローン審査が厳しくなるのです。
イギリス政府が打ち出した、住宅ローン先延ばしポリシー(Mortgage Holiday)も10月末で終わります。銀行はコロナの影響で収入が減少して住宅ローンが払えなくなった人に、一時的にInterest Onlyの住宅ローンに切り替えることを計画しているようです。利息だけを払えば差し押さえを逃れることが出来るようですが、根本的な解決にはならず、物件を手放さなければならなくなる人も出てくるでしょう。
ロイズ銀行は、2022年までに住宅価格は最大30%下落すると予想しているそうです。購入のタイミングで価格が大きく変ってきそうです。