何十年と生きていると、考えが変わることってなかなかないものです。考えというほど確固たるものではなくても、何となくそう思っていることがあります。そんな中、最近ハッとさせられた、また認識を改めた言葉を書いてみます。
(1)「食べることは生きることである」by南杏子
これは、医師による医療小説の「いのちの停車場」の中に書かれていた言葉で、ハッとさせられました。この本は終末医療や最先端医療を在宅で行うことについて書かれており、ものすごくいろいろ考えさせられました。本当に読んでよかったです。闘病の末、もしくは寿命で命を終えようとしている人がどういう段階をたどるかということ、それ以上にそれを見守る家族の思い、がとても現実的に描かれており、特に家族を見送ったことがある人には胸に迫る本である。その中で医師が家族に「亡くなる方は、死の数日前から食べなくなります」とあり、父もそうだったな、と思い出しました。一年中、主に体形維持のために食事を意識・制限して生きていますが、食べることは生きることそのものである、という概念にはハッとさせられました。食べるものを自分の意思でコントロールできるのは健康であるからこそ。今まで以上に何を食べるかを重視しようと思いました。
(2)動物(人間を含む)は眠っている状態がデフォルトである(勝間和代さんのYouTube)
とても興味深い概念だと思い、ハッとさせられました。人間を含む動物は、眠っている状態こそがデフォルト(常態)だということが最近の研究で分かったそうなんです。食事や生殖活動は生命や種を維持するために仕方なくしている行動だということ。猫は1日のうちほとんどウトウトしていますが、なまけているとか疲れやすいとか暇すぎるというわけではないようです。時々起きて食べたり、遊んだり、毛づくろいをしていますが、基本寝ています。人間も本来そうなのかもしれませんね。
(3)平野啓一郎著「死刑について」
私はこの本を読むまでは、死刑については犯罪被害者家族の心情を慮るとやむを得ないのではないかと考えていました(法学部出身の著者も同様の考えだったそう)。著者は多方面の人に話を聞き、文献を読み、外国の例も調べ考察したところ、死刑反対の立場に変わったという。日本では過半数というより大多数が死刑制度賛成である。一方、海外をみると死刑制度を廃止した国のほうが多く、私が住む英国も1964年の執行を最後に停止、その後廃止されている。冤罪を完全に否定できないということが理由だそうだ。本書で初めて知ったことは、EUに加入するには死刑制度がないことが条件だということ。説得力がある本でした。
(5)韓流や男性アイドルグループ追っかけのオバちゃん
ジャニーズや韓国の男性アイドルグループや男性フィギュアスケーターに夢中になっている中年女性が不思議でした。あまりに自分とかけ離れている対象が「好き」とかどういうことだろう、あの体力はうらやましい…と思っていたところ、まさに某グループのファンの女性から教えてもらいました。母性本能なんだそうです。子どものように若い男の子が成長していく姿を見届けるのが楽しみであり、幸せなのだそうです。彼女曰く、オヤジが少女グループに夢中になるのと全く違う性質のもの、とのこと。納得。