昨日の英国政策金利決定会合で、市場予想を上回る0.5%の利上げが発表されました。0.25%上昇の見込みが濃くなった段階で新聞の一面になるほどだったのですが、その倍の幅の利上げで市場には衝撃となりました。今週水曜日に発表された5月の物価上昇率が8.7%と高止まりしていることがわかり、英中央銀行は大幅な利上げをせざるを得なかったのです。5%という政策金利は過去15年間で最も高い水準ですが、最終的には5.75~6%まで上げられると予想されています。
イギリス政府は住宅ローンの借り手に対して一切の救済をしないということでしたが、さすがに非難轟々で、本日救済措置を発表しました。ハント財務相と住宅ローン提供銀行3行が話し合って合意に至ったようです。
通常、住宅ローンが払えなくなったら物件は差し押さえになります。それが今回の金利急上昇を受けて、12か月間の差し押さえ猶予期間が与えられることになりました。その間、個人の信用スコアは影響を受けないそうです。一時的に(12か月まで)利息だけの支払いに切り替えたり、ローンの年数を延長したりといった交渉を銀行とします。ローン期間を延長すれば一時的に月々の返済が楽になっても、全期間を通して支払う金利総額も増えますので、先延ばしにしているだけです。猶予期間中に他にできることは、住宅ローンが承認されると6か月間有効になるので、今1つ確保しておいて、6か月後にもっといいローン商品を見つけたらそちらと契約をするという手もあります。また、不動産の価値に対して残債が少ない場合は、住宅ローンブローカーを通して探せば安めのローン金利商品も利用できます。借り換えがしばらく来ない人は今のうちに貯金をしておいて、借り換えのタイミングでなるべく元本を多く返済しましょう。
イギリス政府はお金が無いので、補助金を出したりなどはできません。猶予期間中に個人がそれぞれ手を打たなければならないということです。
2年固定ローンの金利は6.19%、5年は5.83%となりました。知人は3月の時点で月々の支払いが700ポンド増えたと話していたので、住宅ローンを払っている人への影響は甚大ですね。
政府の案は一時的な救済措置に過ぎず(絆創膏と言われていました)、高金利は12か月以上続く見通しですので、住宅ローンの支払いが苦しい人は物件売却や、金利が下がるまで賃貸に出しつつ家賃が安いところへの引越しなどの検討が必要になりそうです。