私は1980~1990年代にイギリスに住んでいなかったので体験していないのですが、夫が言うには、当時の住宅ショックはひどかったそうです。そして今回、それを超える水準で不動産価格が下落すると言われています。
日本も80年代のバブル時代に土地信仰がありましたが、イギリスも住宅信仰が根強く、これまで低金利に支えられて住宅価格はひたすら伸び続けてきました。その結果、世帯収入に対して住宅価格が高くなりすぎてしまい、庶民には手が届かないものとなってしまいました。それでも皆、住宅価格が上昇すると信じているからこそ、高い家賃を払いながら頭金を一生懸命貯めて、1軒目のアパートを買ってきたのです。
現在、住宅ローンの2年固定金利は約6%、変動金利は7%超でこの水準はリーマンショックがあった2008年以来です。Resolution Foundationの試算によると、来年ローン借換えを迎える人は、年間支払い額が£2,900(約53万円)増加するそうです。これは英国全体の金額で、ロンドンの場合借り換えを迎える家計は年間8,000ポンドの追加の支払いになると予想されます(イブニングスタンダード予想)。
住宅ローンの残債がある世帯は約半分なので、全国民に影響があるわけではありません。住宅の見つけづらさや郊外からの通勤費用の高さからロンドンの雇用市場は好調です。さらに、移民は年間60万人の純増で、彼らは仕事が見つかりやすい都市部にすむので、住宅の需要自体は下支えされます。上記の理由で2009年の時のような不況になるとは考えられておらず、住宅価格は10%程度下落すると予想されています。
イギリスの都市銀行は急速に住宅ローン金利を引き上げていますが、一方で預金金利は低いままの銀行が多く、それが猛烈な批判となっています。普通預金の金利はせいぜい2%で、しかも私の銀行の場合2万ポンドまでしか利息が付きません。Cash ISAに入れれば4%程度の利息が付きますが、1年間の定期預金のようなもので、必要な時に引き出すとペナルティが課されます。鞘取りが銀行の収益源なのである程度は仕方が無いですが、4%の鞘抜きは確かにやり過ぎ感がありますね。