イギリスで住宅ローンの支払い金額が急増しているという記事を何回かに分けて出しましたが、実際に払えなくなったらどうなるかについて書きます。
まず大前提として、どこかに資金がないかを徹底的に探してみましょう。定期預金解約、株式などの資産売却、日本に置きっぱなしの貯金なども総動員してかき集めましょう。
住宅ローンは住宅を担保にした借金ですから、払えなければ担保である家の所有権はローンの貸し手に移ります。差し押さえ(Repossession)というのは、ローンの提供者が裁判所で家の所有者を変更することです。貸し手は延滞が始まって3か月経たなければ手続きを始めることはできません。その間に、ローンの借り手は専門家のアドバイスを受けます。
家の所有権がローン会社に移ったら、不動産は即オークションで売り出されますが、現金購入者しか入札できないので、通常より安い価格しか付きませんし、差し押さえ物件の元所有者には将来住宅ローンがおりない可能性があります。これを避けるためには、自分で不動産を売却したほうがいいです(ただし、プロセスには最低6か月ほどの時間がかかります)。
差し押さえを免れるには、前の記事で書いたように、まずローン提供者の金融機関に返済スケジュールの相談をすること。金融機関は交渉中は差し押さえの手続きを進めることができません。それ以外にも、無料で利用できる相談機関がありますので、そこでアドバイスをもらうのもいいかもしれません。
メンタルヘルスの問題を抱える人は、また別の救済策があるとも聞きました。
不動産を購入するときに一番大事なことは、何か予測不能な不都合なことが起こっても、少なくとも数か月は住宅ローンを払える範囲で物件を購入することです。少額の頭金で身の丈に合わない物件を購入すると、今回のような急激な金利上昇が起こったときにローン返済に追われて生活が苦しくなり、対処する選択肢が限られてしまいます。不動産を売却するのにかかる時間はどんどん長くなっていて、最短で4か月、チェーンが長いと1年近くかかる場合もあります。払えなくなったら売ればいい、というほど簡単ではないので、慎重に長期の予算を立てて月々の返済がなるべく少なくなる方法を探し、不本意な価格で物件を売却しなくて済むように備えましょう。