先日イブニングスタンダード紙でショッキングな記事を読みました。
インペリアルカレッジロンドンの研究者が、住宅価格と平均寿命の関連を調べたそうです。調査期間は2002年から2019年です。それによると、ロンドンで住宅価格がもともと高かった地域(裕福な人が住む地域)および住宅価格が上昇した地域と、住宅価格の伸びが少なかった地域の住人の平均余命に大幅な差があることが分かりました。何歳くらいだと思いますか?私はせいぜい5歳くらいじゃないの、と思っていました。
ロンドンの最も裕福な地域と最も貧しい地域の寿命の差は、なんと女性19.1歳、男性17.3歳だそうです。そこまで違うものかと愕然としました。その記事によると、住宅価格の上昇に伴って、ロンドンでは二極化が進んでいるということでした。
ロンドンの女性の平均寿命は、2002 年の 80.9 歳から 2019 年には 85.4 歳に伸びました。男性は同期間に 76.1 歳から 81.6 歳に上昇しました。最富裕層と最貧層の平均寿命に差があることは以前から知られていましたが、この研究では、差として定義される平均寿命の不平等が大幅に増加していることがわかりました。 2002 年には、平均寿命の差は女性で 11.1 年、男性で 11.6 年でした。
寿命が一番長かったのは、ロンドンのケンジントンとチェルシー、ウェストミンスター、シティ、カムデンといった都市中心にある一等地です。研究によると、平均寿命はロンドン全体で下落傾向にあり、それが最も一般的にみられたのが東ロンドンと南東ロンドンでした。住宅価格が上昇した地域の特徴は、教育を受けた裕福な労働年齢の人々が流入してきて、平均寿命も押し上げたようです。
この調査を行った研究者は、ロンドンの経済成長は厳しく二極化しており、都市全体の所得の伸びにもかかわらず、都市の人口のほぼ半分が国民所得の最下2層に入っていると書いています。ニューヨークほどではないにしても、世界トップレベルの富裕層と最貧層が住んでいることは、日々肌で感じて理解しているつもりでしたが、寿命にそこまで差があるというのはまさに不平等です。お金持ちは待たされるNHS(医療システム)とか使いませんし、明日の食べ物を心配している人よりストレスも比較的少なく、安い食材を使った食事とかしませんから、健康を長く維持できるのでしょうね。日本でも最近格差拡大による不平等が話題になっているようですが、たとえ富裕層に増税しても、貧困層がそれで潤うわけではないのは資本主義社会の残酷な現実です。