この記事は、多くの読者の方に関係がないと思われますが、イギリスで現地採用で働いている人で、高額納税者(年収£50,270 = 839万円相当以上、所得税率40%)の方に向けた内容です。
イギリスにある企業では多くの場合、会社が社員に厚生年金のシステムを提供してくれます。Defined Contribution Planといって、被雇用者の給与から天引きされ、自分で運用先を決め数十年単位で年金口座に貯蓄していきます。引き出せるのは55歳からで、それまではどんな事情があろうと、いったん払い込んだお金にアクセスはできません。
このシステムを利用する一番のメリットは、自分が決めた拠出額が額面から引かれた後に課税されるので所得税節税になるということと、雇用主が最低3%のマッチングをしてくれるということです。つまり、自分が100ポンド拠出したら、会社は少なくとも3ポンド入金しなければなりません。
長く働いていると当然ですが、積立金が徐々に増えていきます。とはいえ、投資先や市場変動に左右されるので、私の基金も一時期よりだいぶ目減りしてしまいました。と、ここまでが前置き。
上に書いたことは、基本税率納税者にも当てはまることです。では、高額税率納税者は何が違うのかというと、この所得税還付は一律20%で設定されているので、40%の所得税を払う人は自分で還付を申請して取り返すことができます。手続きとしては、確定申告をすることになります。面倒くさいのですが、無視できない金額になりますので、40%の所得税を払っている人は、絶対にやったほうがいいと言われています。そして、過去還付を申請し忘れても、4年分さかのぼって申請することができるのです!
もう一つ重要なことは、節税になるのは年間年金基金への入金が40,000ポンドまでということです。自分と雇用主の拠出金と、タックスリリーフ(免税)分を足した金額です。これを超えてしまったら税金を追加で払うことになり、手続きが面倒です。
私は確定申告を税理士にお願いしていますが、もちろん自分でも簡単にできます。HMRCのウェブサイトから申請できます。還付の方法は、今年度の税金が減額されるか、個人に割り当てられる納税者番号を変更してもらうか、払いすぎた税金のリベートという形になります。
この制度を知っていて毎年手続きをしている人は少なく、イギリス政府は毎年数億ポンド得をしているそうです。払いすぎた税金は返してもらい、もらえるお金はもらいましょう。なお、2021年4月6日~2022年4月5日の税年度のSelf Assessment(確定申告)締切日は2023年1月31日ですので、お忘れなく。