英国のインフレーションは11.1% 41年ぶりの水準

今日、2022年10月の英国のインフレーションが公表されたのですが、過去41年で最高水準の11.1%でした。主な要因は、光熱費と食料費の上昇です。イギリスの中央銀行は、金利引き上げペースを維持することを余儀なくされるでしょう。

英国政府は、エネルギー価格の上昇による家計負担をサポートするために、ガスと電力の卸売料金を制限する価格保証を導入していますが、それを上回る上昇だったようです。夏にエアコンを使う家は少ないですが、暗く寒くなってきて、照明や暖房にエネルギー費がかかるようになってきました。食品も目に見えて価格が上がっていて、1977年以来最も速い年間ペースで上昇しました。

物価上昇率は賃金上昇率の2倍を超えています。エネルギー価格の高騰が生活費危機の主な原因となっていますが、これは2月にロシアがウクライナに侵攻した結果であり、小麦などの多くの商品価格と、それらを生産するためのコストが跳ね上がったからです。

データ出所:英国統計局

原油価格自体は、戦争開始後5月にピークアウトし、物価もそれに伴って下落すると期待されていました。上記のイギリス政府による燃料費補助は、2023年4月に見直しされることになっており、打ち切りの方向で検討されています。明日、ハント財務相が財政政策を国会で発表する予定です。

ハント氏は、インフレーションに合わせて生活保護や年金支給額を引き上げることで、もっとも弱い立場にある人々を最悪の事態から守ると考えていますが、そのために英国内に住む全員が増税に直面することを警告しています。

イギリス中央銀行は、政府のエネルギー費補助がなければ、インフレーションは13%を超えたと予想しています。来月の政策金利決定会合では少なくとも0.5%の利上げは必要で、その場合は3.5%になりますが、0.5%では十分なインフレ抑制効果が出ないのではないかと思います。一方、先日発表された英国の第3四半期のGDP成長率はマイナス0.2%でした。中央銀行は、マイナス成長がさらに7四半期続くと予想しています。

中小企業はコスト高を吸収または転嫁できずに、苦境に立たされていると報道されています。ここで金利が上がると、不況とインフレーションのダブルパンチ、つまりスタグフレーションになり、財務体質が弱い企業が生き残るのは厳しいかもしれません。明日の財政施政方針演説を注視したいと思います。

*数値など、SKYニュースを参考にしました。

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