イギリスでは職場への出戻りが結構ある

日本で働いていた時にはあまり耳にしなかったのですが、イギリスでは職場への出戻りが多くて驚いています。つまり、様々な理由で転職していったものの、元の会社に再雇用される人が結構いるのです。人的ネットワークが極めて狭い私が知る限りでも4人はいます。

「いい会社が見つかったので転職します!」と大手を振って出て行った同僚が「またよろしく」と平気な顔で戻ってくることに最初は驚きました。辞めてからその会社の良かったところを認識することはあり得ますし、恥ずかしく思う必要はないと思いますが、私にはできそうもありません。

イギリスの会社は「そういうこともあるよね」と寛容で、「1回辞めたのに何で戻ってくるんだ?」とは言わず、人員に空きがあれば再雇用を検討してくれます。研修をしなくても再入社した日から働けますからね。もちろん、これは自主退職した場合のみで、パフォーマンスが悪くて解雇されたら応募してもダメですけれど。

「通勤に時間がかかりすぎるから」という理由で転職していった同僚は、数年後に管理職に昇進してカムバックしました。上層部に気に入られていて、より良いポジションで戻るよう説得されたのでしょうが、管理職としての経験が無かったので、右往左往していると聞きます。

他にも、3か月前に辞めたばかりの同僚が、「新しい会社は社員がフレンドリーでなくて嫌だ」という理由で戻ってくる予定です。夫の会社でも、仕事が嫌で辞めていった人たちが「やっぱりまたここで働きたい」と2人戻ってきたそうです。

それで、合点がいったことが一つあります。3年前に、私の隣に座っていた同僚が全く違う分野に自ら転職をしていきました。新しい仕事に満足しているはずなのに、数か月おきに私に連絡をしてきては、人員に変化がないか探りを入れてきます。空きさえあればいつでも戻れると思っているのでしょう。はっきりいって、その人は平気で仕事をさぼるので隣にいると士気が下がり、帰ってきてほしくありません。

会社を辞めていく同僚たちが妙にフレンドリーに愛想を振りまき、自腹でお別れパーティを開催する理由が分かりました。残る同僚たちに感謝するという体で、去り際にいい印象を植え付けて惜しまれて去るという状況を演出しつつ、将来戻る選択肢を残しておきたいのですね。なるほど。

出戻りの同僚を迎えることは微妙な感情が無くもないですが、やり直しを許容する懐の広い社会自体はいいことだと思います。

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