イギリスだけでなく、日本やアメリカでも同じことが起こっていると聞きます。
最近まで都市の中心部の物件が人気でした。でも今は、通勤に不便でも郊外や田舎で庭や仕事部屋がある物件が人気です。中心部の物件は同じ値段でも狭く、庭がない集合住宅が多いです。
先日イギリス政府が、自宅勤務できる人はそうするように、と指示を出しました。そして、この措置は6か月続くかもしれない、とも発表しました。となると、都市中心部の狭いアパートに住む必要性がないのです。ロンドン中心部のアパートがたくさん売りに出ていますが、売れていないようです。
不動産価格が高いイギリスでは、普通の人は今住んでいる家を売って、新しい家を買います。引越しは大変ですしお金もかかりますから、売買はなるべく同時がいいのですが、売れたタイミングで買いたい家が見つかるとは限りません。買い手が現れた時点で自分も買い手として他の家にオファーできますが、何らかの買い手の都合、例えば住宅ローンの審査が下りなかったなどで、その契約がキャンセルになることもあります。契約書を交わす(エクスチェンジ)までは買い手も自由に止めることができます。
買い手の家が無事に売れることが前提の売却は、チェーン(鎖)と呼ばれます。ひどいときは5件つながっていて、5件の引越しが同じ日に行われることもあります。
知人は家が売れたと喜んでいたのですが、買い手の買い手のところに小さな不備があり、手続きが全く進まないと言っていました。
こういう理由で、チェーンがない買い手(キャッシュバイヤー)は、他の買い手よりも良い条件で交渉できます。また、初めて不動産物件を買う人はファーストタイムバイヤーと呼ばれて、5%のデポジットでローンが組めたりします。若くてお金がない人も不動産を買うことができるように、政府が不動産の一部を所有する形式(シェアードオーナーシップ)もあります。イギリスでは不動産を所有することが人生で大事なことと考えられていて、若い人もとりあえず買って資産の値上がりを待ち、ライフスタイルに合わせて買い替えていきます。プロパティラダー(不動産はしご)と呼ばれます。
ロンドンの不動産の平均価格は、2020年3月時点で£486k(6,500万円)でした。大きな買い物です。