先月のフィナンシャルタイムズに、気になる記事が載っていました。投稿にするのが遅れてしまいました。
イギリスでオンラインで買い物をすると、支払いのところで、「3回に分けて払いますか?利息も手数料もありません」というオプションが出てくることがあります。買うものの金額が数十ポンドでも、このオプションを選ぶことが出来たりします。
このようなサービスを提供する企業はたくさんありますが、代表的なものはスウェーデンのKlarnaです。Buy Now, Pay Laterの頭文字をとって、BNPLと呼ばれるサービスです。Klarnaのウェブサイトを見ると、実にたくさんの企業が提携しています(2300社以上だそうです)。
支払い方は、①3か月にわたって3回で払う、②30日後までに返品しなかったら払う、③金額が大きいものは、6~36か月で払う、とあるようです。
先月の記事では、支払い不能な人が増えたため、Klarnaの損失が増大しているとありました。株式上場を目指して急成長中の同社の第2四半期は大幅な赤字になったそうです。四半期の営業損失がなんと111百万ドルにもなりました。記事を読む限りでは、業務が拡大したので、貸倒損失が増えるのも当然である、とあまり危機感を持っていない同社経営陣のコメントでしたが。
この後払いサービスを利用するにあたり、特に信用調査は行われないので、来月収入があるか分からない人でも分割で購入できてしまいます。クレジットカードに比べると利息が付かない分、利用しないと損!と思う人もいるかもしれませんね。特にミレニアム世代には大好評みたいです。でも、分割後払いで買ったものの残債が気づかないうちに増えていき、踏み倒さざるを得ない人がいるのです。
こういった消費者クレジットの状況の悪化は、2008年のサブプライムローンの破綻を思い出させます。お金が無い人にも消費をあおり奨励するのは、いいことなのでしょうか。若いうちに信用に傷がつくと、その先苦労をすると思うのです。
この不吉な予感が社会全体の信用不安につながるかもしれませんね。昨日発表されたイギリスの予想外に高かったインフレ率(3.2%)も利上げが早まることを示唆しています。経済の行方を注視して、フレキシブルに素早いアクションを取りたいと思います。