イギリスの国民年金(State Pension)は、欧州諸国の中でも低いと言われています。
現在は、2016年までに受給年齢に達した人は週£137.60(約21,000円)、それ以降は週£179.60(約27,000円)支払われています。高く感じるかもしれませんが、物価も高いので、年金だけで生活するのは苦しいです。ちなみに、2021年現在は年金受給開始年齢は男女とも66歳で、今後68歳に引き上げられる見込みです。
現在政権を握っている保守党の公約にTriple Lockというものがあり、少なくとも2024年までは消費者物価指数、平均賃金上昇率、2.5%のうち、一番高い数値に合わせて年金受給額が上昇することになっています。
イングランド銀行(中央銀行)は、今年度の平均賃金が8%上昇すると予想しています。コロナで働けなかった人たちが仕事に復帰することから、一時的に急上昇するようです。これに沿って年金が上昇すると、英国は30億ポンドもの追加支出が必要になります。
財務相のリシ・スナク氏は慌てて、「受給者と納税者に公平でなければならない」と発言しました。コロナ禍でお金を使いすぎてしまった政府は、頭を悩ませています。政府の言い分としては、平均賃金が下落した景気低迷下や物価下落時も年金は年2.5%の増加をしてきたので、納税者に公平な上昇でなければならない、というもの。Triple Lockルールは法律ではないので、秋に方針変更されるかもしれません。
私が住む地方自治体(Council)では、住民税(Council Tax)が今年度は5%上がりました。固定資産税のように家の価値で支払額が決まります。使途は、社会福利厚生および保健、子どもの教育や福祉、ごみ処理や道路の整備、公園などの管理などです。平均的な家で年間約31万円ですが、低収入の家計には厳しい金額です。
私はイギリスの国民年金を納めてはいますが、定年後の収入としては全く期待しておらず、無いものと考えて他の資産を準備しています。実際にはイギリスに住む多くの高齢者は国民年金だけで暮らしています。義父(持ち家あり)もその一人ですが、なんとも心もとない支給額です。義妹(持ち家とローンあり)も国民年金以外一切の貯蓄をしていないそうで、他人事ながら心配になってしまいます。
イギリスは人口が増え続けているので日本ほど少子高齢化を心配する声はありませんが、国のお財布事情はどこも似たり寄ったりなのかもしれません。