イギリスで不動産を建築、売却、賃すときには、Energy Performance Certificate (EPC)の証明書が必要です。AからGまであり、Aが一番エネルギー効率が高いです。この証明書は取得から10年間有効です。
不動産を購入する予定の知人から、「この家を買おうと思う」と広告を見せてもらいました。素敵な街並み、居住スペースも広く、イギリス人憧れのヴィクトリアン(ヴィクトリア朝時代1837~1901年に建設された家)。ロンドンから遠いし改築は必要だけれど、価格も良心的。階段が螺旋階段なので家具の搬入が大変ですが、その程度のことは何とかなります。
問題なのは、この家のEPCがFであること。古い家はエネルギー効率が悪いです。イギリスでは今のところ最低Eはないと、賃貸に出せません。知人は改築後は賃貸に出す予定でした。
右側のPotentialというのは、手を加えればここまで改善するというところです。上に挙げた例の家では、工夫をしても現在のC以上にはなりません。
エネルギー効率を改善するには、壁や床や屋根に断熱材を入れる、窓を二重窓にする、屋根にソーラーパネルを付ける、省エネの照明にする、などの方法があります。
イギリス政府が地球温暖化対策として政策に掲げているNet Zero by 2050は、2050年までに排出二酸化炭素を1990年の数値を100%以上下回る水準に減らすという壮大な目標です。その一環として、一般家庭からの排出を減らすために現在検討されているのが、2035年までにEPCをC以上にする法律です。まだ最終決定ではありませんが、物件購入の際、将来賃貸に出す可能性があるのなら、EPCのPotentialがC以上の家にしたほうがいいです。尚、2020年にはエネルギー効率を上げるための改築への補助金が出ました(収入制限あり)。
2035年はまだまだ先と思われるかもしれませんが、環境関連の目標は前倒しになる傾向があり、2028年までに法律を整備しようという動きもあります。賃貸に出さないとしても、EPCが基準を満たさない物件は将来売却が難しいことは確実です。
住宅に関する法律は頻繁に変わりますので、常にアップデートをしていかなければいけません。フラットを売却する際の注意を別記事で書きましたので、そちらもご参照ください。