義妹が今年、家を買いました。
彼女はプロパティ・ラダーを極めて順調に上ってきた人で、不動産をライフステージに合わせて売買することでわらしべ長者のように資産を増やしてきました。不動産投資があまり上手くない私たち夫婦は彼女の手腕に一目置いています。
今回も、右肩上がりの不動産市場に支えられ、6年前に買った家が12万ポンド(1,800万円)の収益で売れ、見事にグレードアップした家が買えました。6年で1,800万円とは、素晴らしいリターンです。
残債があり、今回購入した家も購入額の3分の1は住宅ローンで賄いました。最大額を借りているそうです。
中古の住宅は、多くの場合改装が必要になります。義妹はキッチンにこだわりがあり、改装業者に見積もってもらったら、オーブンなど電化製品や設置も含めて25,000ポンド(380万円)必要なことがわかりました。かかった費用は将来家を売るときに価値が上がって取り返せるという目論見です。子どもの友達やママ友(ミドルクラス)を家に招いた時に恥ずかしくないキッチンが欲しいそうです。「キッチンは家の心臓なんだから、とても大事なの」と言っています。同じ女性として、水回りが大事なのは私にも理解できますよ。
住宅ローンは既に最大額まで借りているので、追加の改築費用を用意するためにメインバンクに個人ローンを申し込んだら利息が10%と言われたそうで、狼狽して兄である夫に電話してきました。
資産(家)があるのに利息が高い理由が理解できなかったようなので、(私が夫に)説明しました。ローンの貸し手は、バランスシートよりキャッシュフローを見るのです。毎月の収入と支出から返済可能額を計算し、同等信用程度の借り手のデフォルト率を勘案して、銀行が取るリスク分を上乗せしているのです。この程度の知識は大人として常識じゃないでしょうか?サラ金やクレジットカード並みの金利が課される自身の信用状況を顧みるべきですね。
彼女は車も高級車を(乗りたいけれど買えないので)リースしており、毎月リース料を支払っています。住宅ローン残高も増えたので毎月の返済額も増えます。
そして、子ども(1人)を一番いい学校に入れたい、と頑張っています。イギリスでは、いい学校は授業料が年間3万ポンド(450万円)近くします。収入が高くない義妹には払えない金額で、返済不要の奨学金を申し込む予定ですが、その際に貯金があると授業料を自己負担しないといけないので、なるべくスッテンテンで借金まみれで申し込むほうが奨学金をもらえる可能性が高いのだそうです。つつましく暮らして貯金してきた人に不公平な制度ですね。
夫は義妹に甘いので、無利子でお金を貸すと言い出すかと思いましたが、今回はそうしませんでした。代わりに、①他の銀行に何パーセントの利息でいくらまで借りられるか聞いてみる②お金が貯まってから改築する③高級なキッチンユニットではなく、もう少し安い業者を探す④無利子で分割払いできる業者を探す、といろいろなアイデアを提示しました。
素晴らしいアドバイスだと思いました。お金を貸すのは簡単だけれど、それだと彼女は学ばないから、と言っていました。自分のキャパシティの範囲で妥協しなければならない、というのは私にとっては当然の認識です。私たち夫婦は不測の事態に備えて、常に余裕を持って暮らすようにしているので、実力以上のものを欲しがる義妹の生き方に共感できません。もし将来病気やケガで働けなくなったり、仕事を失ったりしたらその月から借金の返済ができなくなってしまいます。
そうなったら私たちはもちろん援助をしますが、義妹の身の丈に合わない贅沢をサポートするつもりはありません。
似たような状況で困っている人の記事を読みました。200ポンド(3万円)のコートを分割払いで購入したあと失業し、借金取りに追われた男性の話です。家や車ならまだしも、私なら、分割ですら支払えないものなら手に入れるのを諦めますね。