英国長期債金利、27年来の高水準

英国の長期債(ギルト)のイールドが、27年来の高水準になっていると報じられています。ほんの数か月前に25年来の水準、と騒いでいたのにさらに上昇。これが意味するところは?

英30年国債の金利は5.7%。ちなみに、米国5.0%、日本は3.3%、ドイツは3.4%です。なかなかインフレが収まらず、利下げができない状況にありました。

国債の利回りは、政府が借入れを行う際に支払う利息です。もちろん金利が高いほど、資金調達のコストが上がります。債務返済コストは今年1,112億ポンド(20兆円超え!)に達すると予測され、これは公共支出の約8.3%に相当するそうです(汗)。債務残高ではないですよ、返済利息だけで20兆円ですよ…。

出所:MarketWach

11月26日に年度予算報告を行うことが決まった、労働党の財務大臣リーブス氏は200億ポンドの赤字の補填への重圧にさらされていますが、あらゆる方面での増税が予想されて支持が低く、その前に英国景気の減退の責任を取って辞任させられるのではないかという憶測も流れています。

では、なぜ長期金利が上昇しているのでしょうか。一言でいえば、英国の財政安定性とインフレ見通しに対する投資家の不安が反映されています。鈍い経済成長、国民への税負担、そして持続不可能な福祉支出などの構造的問題が英国民のマインドに暗い影を落としています。

国民への実際の影響で一番大きいのが、住宅ローン金利の上昇です。前にちらっと書きましたが、住宅ローンの固定金利はスワップ金利で決まっていて、これが国債の金利に連動するのです。支払い金利上昇分だけ購買力が低下し、景気停滞につながります。

英国政府は金利そのものを操作することはできませんので、徹底した財政削減および増税で対処するしかありません。すでに破綻している公共サービスやインフラストラクチャーは目も当てられない状況になりそうです…。

まぁでも他の国はどうかというと、欧州や米国などどこも似たり寄ったりですね。

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