資産運用会社フィデリティの最新調査によると、英国の公的年金はG7で最低水準なのだそうです。英国の年金受給者が公的年金から得ているのは退職前所得のわずか22%です。ちなみに、イタリアは76%、フランスは最大58%だそうです。ただし、計算方法は国によって違うので単純な比較はできません。
イギリスの公的年金が特徴的なのは、現役時代の所得が全く関係なく、支給額は年金を収めた年数のみで決まるということです。一方、フランスは就業期間のうち最も収入が多かった25年の平均額から支給額が産出されるとのことで、その額の半分を基準としてその他プラスマイナスで決まるそうです。
英国は公的年金だけで老後の生活を賄うという考えはなく、必要な分は個人で何とかしてね、という制度です。国民は個人年金や厚生年金や投資や不動産から老後生活資金を賄うことが期待されています。日本は厚生年金がある人は一応年金だけで暮らせるように設計されています。
もちろん退職までに必要な金額を準備できない英国人もいますので、数年前に勤務先の厚生年金加入が義務化されました(不参加オプションあり)。十分な資金を貯められないために退職を4年遅らせ、半数以上が退職後の貯蓄が不十分だと懸念しているそうです。
前述のフィデリティ調査によりますと、英国人の公的年金受給平均年数は19.8年で、日本の24.4年に比べるとずっと短いです。さらに、健康で公的年金をもらえる年数は日本の15年に対して英国が11年です。英国政府の公的年金支出はGDP比4.7%と、G7で最低水準でした(ちなみに日本は8.9%)。2026年4月から年金支給額が大幅に引き上げられることが決まっており、政府の負担が懸念されています。他の英国の特徴として国民保健サービスがあるので、基本的な医療費は無料です。
英国の公的年金は他の国に比べて見劣りしますが、その分就労世代への負担が軽減されています。その分、早いうちから私的年金や職場年金になるべく拠出して老後の準備をすることが重要です。老後に望む生活をするには、何歳からならいくら毎月積み立てればいいかを計算するツールはインターネット上にたくさんあるので、それらを活用して充実したリタイア生活に備えましょう。

