先日テレグラフ紙に、アメリカ人はイギリス人よりずっと裕福だという記事が載っていました。
アメリカの高収入世帯をイギリスのそれと比較すると、アメリカのほうが生活費が高いのに82,000ポンド(1600万円ちょっと)も貧しいのだそうです。昨年、アメリカの4割の世帯は手取り収入が70,000ポンド(1400万円)あったそうです。イギリスで同等の可処分所得を得ている世帯は上位10%でした。
2023~2024年度の英国の世帯の上位10%の可処分所得の中央値は71,000ポンドでしたが、アメリカでは2倍以上の15万3000ポンドでした。一方、貧困層世帯では社会福祉の充実により世帯収入が17,000ポンド弱でしたが、米国では15,500ポンドでした。アメリカの貧富の差がすごいことを物語っていますね。
金融危機以降に両国間の差が拡大したのだそうです。米国が経済成長を続ける一方で、英国の回復は鈍化してしまいました。主に賃金の伸び率が要因のようで、特に上位の富裕層で2倍以上の差がついてしまいました。さらに、富裕層への所得税も、アメリカが最高37%なのに対して、イギリスは追加税率が45%です。このくらい稼げる人はアメリカに行ってしまうのでしょうね。
英国では不動産(自宅)が家計資産の大部分ですが、米国の不動産保有額のほうが高いそうです。また、株式市場への投資も、アメリカ人はイギリス人の9倍(!)もの金額になるそうです。ここでも、アメリカのほうがキャピタルゲイン税率が低いことが投資を促進していると考えられます。銀行預金(現金)だけはアメリカ人よりイギリス人のほうが多いそうです。
アメリカで最も貧しいミシシッピ州の平均所得は、英国のミッドランド、北イングランド、ウェールズ、スコットランドよりも高いという調査結果です。

両方の国で就労しましたが、労働生産性がアメリカのほうが高いと感じました。また、競争も厳しいですが、努力が結果に結びつきやすい土壌があるようにも思えました。さらに、アメリカのほうがやはり平均的にリスク許容度が高い気がします。うまくいかないかもしれないけれど、取りあえずやってみようという意識が浸透していて、社会もそういう試行錯誤からのカムバックを受け入れるところがあります。とはいえ、英国の手厚い福祉のセイフティネットは、富裕層を目指さない人には安心材料ですね。