昨日のイブニングスタンダード(新聞)に興味深い記事がありました。
異常気象により、2030年までにロンドンの住宅の43%が地盤沈下のリスクにさらされるそうです。ロンドンは粘土質の土壌、密集した住宅、熱波や干ばつへの露出により、気候変動に対して特に脆弱とのことです。
日本人から見ると驚くほど地形が平たいイギリスでも、ロンドンはテムズ河沿いにあるので、たびたび洪水が起きます。2021年の洪水、さらに昨年夏の熱波で地盤が緩んでいるようです。基本的に涼しい国なので、気温が30度を超えると熱波が来た、と大騒ぎをする感じです(ちなみに今年はまだ30度を超えていません)。
地盤沈下は、建物の下にある地面が沈み、それとともに住宅の基礎も沈下する現象です。専門家は、夏がより暑く乾燥していることが土壌の収縮を引き起こしていると考えているそうです。確かにここ数年は夏に雨があまり降りません。乾燥により火災が増加していますが、消火に使う水も不足しているそうです。
昨年夏の猛暑で、ロンドンの2つの大きな総合病院でITサーバーがダウンして手術ができない時期がありました(ここ先進国ですか?)。今どきエアコンが無い地下鉄やバスも多いです。何が言いたいかというと、イギリスの各種公共システムは、気候変動など全く想定されていないのです。2021年の洪水で30の地下鉄駅が浸水し閉鎖されました(呆) 日本人として驚くのは、こういう不便があっても、「じゃあ次の洪水に備えて整備しておこう」という対策がなされないことです。
昨年の猛暑では、ロンドンの熱中症による死者は高齢者を中心に387人でした。猛暑対策が、街路樹を植えるとか、日よけを店の屋根に付けるという基本的なもので、それはそれで結構ですが、ちょっとずれている気もします。もっと気候変動に耐えうる根本的な都市改造が必要ですね。
自分の不動産が地盤沈下に見舞われたら、どうなるか。今のところ家屋保険でカバーされているところが多いようですが、43%が地盤沈下するなら保険で補償されるのが難しくなっていくでしょう。
地盤沈下のサインは、壁や天井や石材部分のひび割れが出現したり、もともとあるひびの拡大が一般的です。購入しようとしている物件にヒビがないかは、サーベイヤー(公認測量士)が調査してくれます。地盤沈下が確認されると不動産の価値が2割ほど下落するそうです(もっとかと思いましたが)。地盤沈下リスクマップもありますので、ロンドンでも特にどの地域が危ないかご参照ください。