本日のCityAMという新聞に載っていた記事です。
ロンドンの住宅価格が記録的な上昇を続け、富裕層でさえも手が届かない水準になっていることが国家統計局(ONS)の調べで明らかになりました。2023年のデータだそうで、世帯収入にかかわらず平均的な住宅ですら購入できないようです。
ONSは平均的な価格の住宅が世帯収入の5年分以下で購入可能かどうかをアフォーダビリティと定義しています。調査の結果、ロンドン市民の所得上位10%でさえ、住宅購入に6年を要することがわかりました。
イングランド全体では、平均価格29万8000ポンド(約5,800万円)の住宅を購入できるのは高所得世帯の上位10%のみで、ウェールズとスコットランドではそれぞれ上位30%と上位40%が住宅を購入できます。
世帯収入が下位10%の場合、ロンドンの平均的な住宅購入に35年分の収入を要するという調査結果がでました。世帯年収が上位から10~20%の人で24年分の収入ということなので、逆立ちしても満足のいく家の購入は無理ですね。
イギリス中央銀行が8月から利下げを始め、住宅市場には少し明るい兆しが見えてきたという話もあります。とはいえ現状はとても厳しく、人々は生活費の捻出にあえいでいます。
イギリス政府で政権を奪還した労働党は、住宅の供給をマニフェストに掲げています。今後5年間で150万戸の建設を目標にしていますが、国民は懐疑的です。新しい家を建てても、購入する資金がなければ買えませんからね。年間90万人以上の純移民が来るのですから、焼け石に水のようにも聞こえます。
10月30日の財政方針演説後、増税を負担するビジネスを中心に景況感は悪化しています。採用を控える、もしくは社員を減らすことを検討している企業は増加していて、実際に自動車メーカーなど数千人規模の人員削減を発表しています。
世帯収入が上位10%でも平均的な住宅が買えない状況は異常ですね。ロンドンの平均住宅価格は2024年12月時点で679,000ポンド(約1億3千万円)、中央値が505,000ポンド(9,800万円)でした。住宅ローン金利は5%越えですし、購入後も高い維持費や管理費を払い続けるのですから、居住のための不動産購入は財政的に全く意味をなさないといえるでしょう。