イギリス不動産、売買もトリッキー

ロンドンで不動産を借りるのが難しくなっているという記事を何度か書きましたが、当然不動産の売買も大変なことになっています。

現在すでにチェーン(鎖、所有不動産が無事売れることが前提の購入)の状態の人も、契約を結ぶ前に取引がキャンセルになるケースが増加しているのです。そして、鎖が切れてしまったら、新しく他の契約を結ぶのが困難になっています。

一部の報道によると、不動産の購入契約の約3分の1が途中で破棄されています。原因は、急激な住宅ローン金利の上昇で、2022年11月現在2年固定が6.65%、5年固定が6.51%となっています。住宅ローン確保の不確かさから、売り手がチェーン無しの購入者を希望しています。何と、売り手の3分の2が、チェーン無しの購入者にしか売らないと決めていて、残りの売り手もチェーン有りの購入者には大幅な値引きを要求すると言っています。

そうは言っても、頭金が50%近く必要と言われる現在の不動産売買市場で、チェーン無しで不動産を買える購入者は多くありません。チェーンで売買したい場合にできることは、3つ。①ブリッジローンという短期の高金利のローンを手当てして、購入してから売却までをしのぐ。②売却が確実になるまで購入の手続きをすすめず、買い手に購入の手続きを待ってもらう(ただし、待つことに合意してくれるかは分かりません)。③売却の契約に「契約締結の時期が遅れる可能性もある」という条項を盛り込むこと、です。

先週イギリスの政策金利が2.25%から3.00%に引き上げられました。利上げは最終的に4.75%程度で打ち止めになるという観測をイギリス中央銀行が自らせっせと発信していますが、市場ではもう少し引き上げられるのではないかという見方が強いです。

最近、家を売却した知人(チェーン無し)は、購入者(住宅ローンなし=現金)が決まってから、売却を完了するまでに7か月かかったそうです。比較的スムーズに進みそうなケースでもこれだけの時間が必要だったのです。1年前までは3か月かかっていた売買手続きは現在、最短でも6か月程度はかかると言われています。長いチェーンの場合、時間がかかるだけでなく途中で頓挫する可能性も高く、気が遠くなりそうです。

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