先日発表された英国の第3四半期(7-9月)の経済成長率は0%でした。10月末のBudget(国家予算)の発表が企業のマインドに暗い影を落とし、センチメントが悪化しました。一方でインフレーションが高止まりしていることから、米国や欧州が次々と利下げをするなか英国の中央銀行は政策金利を4.75%に据え置きました。
これが意味するところは、住宅ローン金利も高止まりしているということです。当然ながら家賃も上がる一方です。住宅ローンが払いきれなくなって売りに出す人が増加し住宅価格が下落するだろうというのが年初の見方でしたが、市場は持ちこたえたようです。
実際には、2024年は3%の上昇になる見込みです。2025年は同じペースでの価格上昇が見込まれ、2026年には年5.5%上がるという予想ですが、家賃は緩やかな上昇ペースに落ち着くというのが、金融機関や不動産業者の予測。この強気の見通しは今後金利が下落し、所得が伸びるという予想に基づいています。実際に、高金利にもかかわらず、新規ローン申請件数はパンデミック前の水準を超えているようです。
市場では来年政策金利があと2、3回引き下げられると予想されています。そうなっても政策金利は4%前後とまだまだ高いです。高金利下で住宅市場が活況ということは、3%台になればさらに取引が増えて価格は上昇していくでしょう。そうはいっても、人々が値上げについていかれなくなっているので、今後は上昇率は緩やかになると思われます。ここ数カ月、住宅ローン金利は上昇傾向にありましたが、固定金利を引き下げる金融機関は増えてきました。平均2年固定は5.46%、平均5年固定は5.23%(高!)で、ローン市場から4%未満のローンはなくなりました。高級不動産エージェントのナイトフランクによると、ローン金利が4%を超える水準だと転勤などで引越す必要がある人だけが転居を考え、3%台になると投資目的の売買が増えるそうです。
来年4月1日から住宅購入の際に発生する印紙税の控除額が変更になるので、売買を検討している人は何とか3月末までに完了しようとすると思われます(今から売りに出したのでは間に合わないでしょうが)。家賃は2024年11月までの12か月間で英国全体で9.1%上昇、イングランドでは9.3%(!)上昇しました。過去最高の伸びだったそうです。
何度か書いているように、(特にレバレッジをかけた)不動産投資は割に合わなくなってきていますので、不動産を売却して市場から撤退する投資家大家も増加することが見込まれます。これから不動産を買う人にとっても、売る人にとっても、賃貸を探す人にとっても、厳しい状況はしばらく続きそうです。