イギリス政府がコロナによる失業対策として続けてきたFurlough政策は、何度か延長されてきましたが徐々に規模を縮小し、9月末に完全廃止となります。コロナにより休業を余儀なくされた人たちに対して、雇用主は7月は賃金の10%、8月と9月は20%の負担を求められます。従業員は、2,500ポンドを上限とし、元の給料の8割まで支給されます。3割の雇用者がこの制度を利用し、助けられている人が5月末時点で240万人いたそうです。たとえば航空会社はまだコロナ前の状態に程遠いと言われています。Furlough利用中でも、企業は従業員の社会保険費と企業年金は負担しなければなりません。イギリス政府はこの肩代わりに、400億ポンドの資金を使いました。
このFurlough中でも、リストラになることはあります。雇用主が事業から撤退したり、給与の20%負担や企業年金の支払いができない場合などです。Furloughが廃止になり雇用主が給与全額を支払うことになるタイミングで、たくさんの人が失業すると見込まれています。
2年以上勤務した後リストラになってしまった場合は16,320ポンドを上限とし、政府規定のリストラ退職手当がもらえます。従業員の年齢、勤務年数、給与により算出されます。計算サイトはこちら。残りの有給休暇を買い取ってくれる会社もあります。
私の勤務先は、第2四半期は過去最高レベルの好業績でした。にもかかわらず先月、2人がリストラされました。2人とも勤続10年以上で、年齢は50代だと思います。
夫の会社でも、不採算部門のトップ2人(ともに50代)が先日リストラになったそうです。私の会社も夫の会社も自宅勤務できる業種なので、Furloughはありません。
イギリス人は貯金をしない人が多く、国民年金(State Pension)受給開始年齢は男女とも66歳ですので、それまでは働かないと生活できない人が多いです。採用時に年齢で差別してはいけないと法律で決まっていても実際に、仕事を失った50代の3分の1が次の仕事を見つけるまで1年以上かかり、2年以上かかる人は2割だそうです。複数の子どもを私立の学校に行かせている人には壊滅的な打撃となります。同じスキルを持った20代と50代では、20代の候補者が選ばれることが多いそうです。
夫に、例えばシングルマザーであるなど個人的な事情はリストラ対象を選ぶ際に要素に入るのか、と聞いてみたところ、「全く」関係ないとのことです。仕事内容・量と雇用コストを比較して、最も「割高」な人から切られるそうです。つまり、会社にとってどれだけ役に立っている人材か、です。毎年インフレ分は給料が増える会社が多いので、同じ仕事内容で長く勤めるほど「高く」なってしまいます。
尚、失業したら、失業保険給付金を申請することが出来ますが、永住権を持っていない場合は将来永住権を申請するときに、国の福祉に頼っていないことが条件になりますので、要注意です。
リストラ対策で大事なのは、50代で失業しても数年は生活していかれるように貯蓄しておくことです。また、私個人の意見ですが、会社勤めの場合、若く「見える」ことも意外に重要だと思います。あとは、長く働きたい場合、会社内で敵を作らず目立たないこと。なるべくスキルをアップデートしておき、20代よりも優れたIT知識や豊富な経験といった付加価値が認められないと、採用されるのは難しそうです。